栗山町での農家実習を実施 2018/07/06~8

当研究室は協同組合学研究室とともに、学部2年生(27名、うち4年生1人)と韓国からの学部留学生(1年間、2名)、計29名を対象として、栗山町において農家実習を行いました。実習期間は7月6日(金)から8日(日)まで、2泊3日間でした。

栗山町農家実習は1997年から農家泊り込みのかたちで実施されており、今年で21回目になる歴史の長い実習科目です。しかし、栗山町においても農家の高齢化と世帯交替が進展んでいる中で、学生の泊り込みについての農家の事情を考慮し、今年には農家泊り込み班(18人)と日帰り班(11人)に分けて実習を行いました。

6日(金)は9時に出発し、栗山交通の貸し切りバスを利用して栗山町役場まで移動しました。10時半からは1時間にわたって栗山町農業振興公社の本田徹氏により、栗山町農業と公社の事業内容についてのお話を聞くことができ、参加学生からの質問とそれに対する答えを頂きました。なお、北大農経のOBであり、栗山町で農業経営を行いながら、今年も学生を受け入れていただいた岩﨑英伯氏より、「雑草とは何か」について考える宿題が参加学生に与えられました。

12時30分からは受け入れ式がありました。町産業振興課長の高間嘉之氏から栗山町の紹介を兼ねたご挨拶を頂きました。その後、迎えに来られた農家・農業生産法人のみなさんに同行して、農家泊り込み班は農家に泊まり、日帰り班は公社の農業体験宿泊施設から通う、1日半の農業実習が始まりました。

今回の受け入れは10の農家・農業生産法人であり、農業生産法人が日帰り班となっています。

参加学生は7日(土)の夕方まで各農家・法人で実習を行い、夕方には農家の皆さんおよび栗山町の関係者と一緒に町内の焼肉店で懇親会を行い、農家と学生間の交流を深めました。宿泊はシャトレーゼ ゴルフ&スパリゾートホテル栗山のコテージ4棟を借りました。

8日(日)には、離農の多発で遊休地化していた栗山町桜丘ハサンベツ地区を、自然と農業と人が共生する里山、ふるさとの川として再生する取組みを展開している「ハサンベツ里山プロジェクト」の月例会に参加しました。午前には、男子学生がハサンベツ川の自然河川化のため上流の木伐採作業と運搬作業に汗を流し、女子学生は下流でミズバショウの植え付け作業を行いました。午後からはプロジェクトの代表である高橋慎氏の案内で活動内容を紹介頂きました。

実習開始の前日まで北海道には大雨による被害が全道にわたって多数報じられる中、今年の農家実習は、悪天候による心配がありましたが、実習期間内には多少冷え込みましたが、実習を行うには支障がなく、日曜日には晴れて順調に進められ、事故もなしで無事に終了することができました。

受入農家・法人、栗山町関係者のみなさまに、この場をお借りしてお礼申し上げます。

ありがとうございました。


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大学院共通科目「アジア農業協同組合論」第8回「キルギス:中央アジアの農業と農協」を実施 2018/7/2

大学院共通科目「アジア農業協同組合論」の最後の講義が7月2日(月)に北大農学部S32教室で行われました。今回は北海道大学大学院農学院・アジア地域連携研究所の中村正士氏により、「キルギス:中央アジアの農業と農協」というテーマで講義が行われました。

講義では、まず、中央アジア5カ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)の地理的位置と歴史、そして、農業についての紹介がありました。特に、タジキスタンの農業においては、営農資金の不足、セフティーネットの欠如、生産基盤の未整備、組織未整備や農家の制度知識不足、営農サービス機能の欠如、生産物の低品質を主要課題として取り上げました。

続いて、タジキスタン、キルギス、ウズベキスタンの農家と農民組織の概要について説明し、3カ国における農民組織化の課題を指摘しました。タジキスタンは極端に少ない予算、職員の低い給与による人材の流出、形式主義と無秩序な業務の進め方、中央集権的発想と企画立案能力の低さが指摘されました。なお、キルギスは、加入農家の少なさ、衰弱な財政基盤、農協の役割・機能についての理解不足、サービス機能の貧弱、技術指導や普及を行う仕組みの未整備が述べられました。

以上を踏まえ、最後には、中央アジア諸国での農業協同組合育成についての説明がありました。

今回の講義で2018年度の大学院共通科目「アジア農業協同組合論」は終了となりました。当科目の講師を担当していただいた外部の講師をはじめ、当研究室のスタッフのみなさまにこの場をお借りしてお礼を申し上げます。

大学院共通科目「アジア農業協同組合論」第7回「タイ:タイの農漁村協同組合―市場対応とその機能―」を実施 2018/6/25

大学院共通科目「アジア農業協同組合論」の7回目の講義が6月25日(月)に北大農学部S302農経会議室で行われました。今回は広島大学の山尾政博氏を招き、「タイ:タイの農漁村協同組合―市場対応とその機能―」というテーマで講義がされました。

講義では、まず、タイにおける協同組合の歴史についての説明がありました。1928年に国家主導として出発したタイの協同組合は、1938年以後にライファイゼン型の信用組合を中心とした協同組合が急速に普及され、第2次世界大戦後の1954年には10,338組合に増加する等、協同組合の設立が集中される様相が見られると指摘しました。さらに、1968年の協同組合法の制定により総合農協の育成が本格化したタイでは、開発対応の農業者組織が続々に登場する中で、農協は農業・農業協同組合銀行により事業拡大が進められていると述べました。このような動きを踏まえて、タイにおける農村協同組合組織の特徴を組織の重層化、競争関係の激化、生産志向を強くする農村協同組合と取り上げました。

続いて、タイ農協の概観と事例農協による実態を説明しながら、農協の事業規模は信用事業、購買事業、販売事業の順であると言いました。

最後には、以上の内容を踏まえながら、タイ型総合農協の持続性、政策が協同組合組織に求める便宜性、住民が求める協同組合の役割、事業活動の可能性、組合員の生産構造の急激な変化に対応する農協の機能について考えてみることを提案しました。

次回は7月2日(月)に北海道大学大学院農学院・アジア地域連携研究所の中村正士氏により、「キルギス:中央アジアの農業と農協」をテーマとした2018年度の最後の授業が行われます。

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大学院共通科目「アジア農業協同組合論」第6回「ベトナム:ベトナムの輸出野菜産地と農協」を実施 2018/6/18

6回目の「アジア農業協同組合論」が6月18日(月)に北大農学部S404教室で行われました。今回は弘前大学の高梨子文恵氏をお招き、「ベトナム:ベトナムの輸出野菜産地と農協」というテーマで講義がされました。

講義では、まず、ベトナムの概要と農業を概観してから、ベトナム農協の歴史についての説明がありました。ベトナム農協は社会主義体制下の集団農業化の進展と1988年以後の農場の解体を経て1996年に協同組合法の制定により新設され、2012年の同法改正で農協代表者が主任から経営者に、外国人の組合員の加入を認めるようになったと述べました。

最後に、5つの農協による農産物販売実態から、ベトナム農協の農産物販売構造について説明しました。

次回は6月25日(月)に広島大学の山尾政博氏を招聘し、「タイ:タイの農漁村協同組合―市場対応とその機能―」をテーマとした授業を行います。

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大学院共通科目「アジア農業協同組合論」第5回「韓国:東アジアの総合農協」と「中国:中国農村合作社」を実施 2018/6/11

6月11日(月)に大学院共通授業「アジア農業協同組合論」の5回目の講義が北大農学部S32教室で行われました。今回のテーマは「韓国:東アジアの総合農協」と「中国:中国農村合作社」でした。この授業は当研究室のスタッフ、申錬鐵氏と高慧琛氏が担当しました。

「韓国:東アジアの総合農協」では、まず、韓国における総合農協の設立過程を時期別に踏まえた上で、韓国農協の組織や事業内容等の概要について紹介しました。その後、2011年に農協改革の一環として実施された農協中央会の事業構造再編について、推進経過と主要内容、合意形成過程を中心に説明しました。最後には、事業構造再編後の農協中央会、農協経済持株会社、農協金融持株会社、単協の役割についてまとめました。

「中国:中国農村合作社」では、中国の農村合作社についての背景として、中国における計画経済時代の農地改革、高級合作社、人民公社と改革・開放時代を説明しました。続いて、2007年から本格的に展開され、農家生産請負経営を基礎にして民主的に運営する互助性の経済組織を担う農民専業合作社について説明しました。最後に、以上の内容をまとめ、中国農村合作社の変遷を述べました。

次回の授業は6月18日(月)に弘前大学の高梨子文恵氏を招聘し、「ベトナム:ベトナムの輸出野菜産地と農協」をテーマとして行います。

大学院共通科目「アジア農業協同組合論」第4回「北海道:北海道の農村社会と協同組合」を実施 2018/6/4

4回目の「アジア農業協同組合論」が6月4日(月)に北大農学部S32教室で行われました。今回は当研究室の元スタッフ、弘前大学の正木卓氏をお招き、「北海道:北海道の農村社会と協同組合」というテーマで講義がされました。また、オブザーバーとしてJAバンク北海道サポート基金から2人が聴講されました。

講義では、まず、府県と北海道の農村社会構造の相違、農村が直面する課題と振興策、農村の有する多面的・公益的機能という問題意識が述べられました。そして、日本の農村社会についての理解を深めるために、①農村政策の変遷、②農村社会構造の特質、③農村社会と協同組合に焦点をあてた説明がありました。特に、既存研究と府県での生々しい農家調査経験を生かし、府県と異なる北海道の農村社会の特質を1)農家と村落との関係、2)土地に対しての労働(経営)の優位性、3)農家の存在の流動性と整理し、その性格を農事組合型村落と規定しました。

後半は、北海道厚生連とコープさっぽろの事例を取り上げつつ、農協による生活インフラ形成の意義についての内容となりました。農協の生活インフラ形成には協同組合間協同が必要であり、その重要性はより増していくと説明しました。最後に、人口と産業基盤が縮小している北海道において、農協を含む協同組合が産業振興と地域社会のインフラ維持を担う唯一の存在であり、これが農村社会からみる協同組合の存在意義であると強調しました。

次回は6月11日(月)に当研究室のスタッフ、申錬鐵氏と高慧琛氏による、「韓国:東アジアの総合農協」と「中国:中国農村合作社」をテーマとした授業を行います。

公開講座「北大を散策しながら農協を考える」を開講 2018/6/2

市民講座「北大を散策しながら農協を考える」が開講されました。この講座は当研究室の目的である、協同組合についての情報発信のため企画され、JAさっぽろと共催のかたちで行います。今年の市民講座は北大のイベントや施設見学などを楽しむ第1部と協同組合の情報を発信する講義の第2部の構成となっています。

6月2日、北大祭(6月1日~3日)期間中に行った第1回公開講座には、JAさっぽろ組合員と職員10人、オブザーバーとしてJAバンク北海道サポート基金の職員1人、計11人が参加しました。参加者は13時00分に北大農学部を出発し、北大中央通を散策しながら、若者の勢いを満喫し、留学生が作った世界各国の料理を楽しみました。その後、14時30分からは北大農学部農経会議室(S302)に戻り、坂下明彦氏より「ファミリー:協同組合における生産と消費のユニット」をテーマとした講義を受けました。

講義では、まず日本の農業と食を支える存在としての家族のゆくえを統計に基づいた農家と家庭の現状から整理しました。そのうえで青果物を対象とし、都市の膨張と消費者の集積に対応した流通システムとしての卸売市場体系の形成、都市消費の形成とその対応においての農協のレーゾンデートルが示されました。最後には、グローバル化に抗する農業と食のあり方を、①生協の展開、②直売所の展開、③インショップの展開など協同組合が主導してきたこの30年間の確実な変化から見出しました。また、家族が弱体化する中で、農協が地元の地域・生活に目を向け、ひとまわり大きな総合事業を展開することが、農協自体の社会的評価を高めると指摘し、地元目線の活動を基礎に、新規参入者の積極的な受入や都市生活者との交流を深めていくことが今後の北海道の農協の変身の仕方であると強調しました。

講義後、参加者からは「核家族化が非常に進展している今日において、家族のあり方について深く考える機会だった」、「農家という概念が農業・農村・農協において重要な位置づけであることがわかった」という意見がありました。

次回の市民講座は8月18日(土)13時00分より北大マルシェを楽しんでから、北大農学部農経会議室(S302)にて栗山町役場経営企画課の金丸大輔氏により「フード:食料の確保および食の安全・安心を支える農協」をテーマとした講義が行われます。


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大学院共通科目「アジア農業協同組合論」第3回「日本:総合農協の出生と軌跡」を実施 2018/5/28

5月28日(月)に大学院共通授業「アジア農業協同組合論」の第3回「日本:総合農協の出生と軌跡」が北大農学部S32教室で行われました。この授業は当研究室のスタッフ、小林国之氏が担当し、JAバンク北海道サポート基金から1人(越智総務部長)が聴講されました。

講義では、日本の農協の原型としてのドイツの農協の存在を踏まえながら、前身である産業組合の発展、国策と化した農業会について説明されました。第2次大戦後の農協の設立とその展開を時期別に捉え、画期毎の特質が指摘されました。また、北海道の農協については「開発型農協」としての性格を有しつつ、水田地帯の余裕金運用型・畑作地帯のすれ違い金融型・酪農地帯の借金組合型などの地域的類型をもつ存在であることが述べられました。

次回の授業は6月4日(月)に当研究室の元スタッフである弘前大学の正木卓氏を招き、「北海道:北海道の農村社会と協同組合」をテーマとして行います。

2018年度日本農業経済学会北海道大会が開催される 2018/5/26~27

5月26日(土)から27日(日)にかけて北大高等教育推進機構にて2018年度日本農業経済学会が開催されました。当研究室のスタッフである坂下明彦氏が本大会の実行委員長、小林国之氏がシンポジウム報告を行いました。

26日に開かれた大会シンポジウムでは、「『地域』と次世代型農業経営体との関係性」をテーマに4つの報告と2つのコメントに引き続き、総合討論がありました。

小林国之氏は「地域農業の維持と農協の機能-次世代型先進的農業経営体との関係から-」をテーマに、標茶町農協の事例を踏まえながら次世代型農業経営体の展開におけるあるべき農協の姿について報告しました。

27日には、同会場にて個別報告(口頭報告・ポスター報告)、特別セッションが行われ、当研究室のスタッフも参加しました。個別報告では、申錬鐵・正木卓・國本英樹の三氏共同で「北海道における農協の個選共販による野菜流通構造」をテーマに口頭報告を行いました。さらに、小林国之氏は特別セッションで「草地型酪農地帯の地域維持に向けた課題と農協の役割」をテーマとした報告を行いました。


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