大学院共通科目「アジア農業協同組合論」第4回「北海道:北海道の農村社会と協同組合」を実施 2018/6/4

4回目の「アジア農業協同組合論」が6月4日(月)に北大農学部S32教室で行われました。今回は当研究室の元スタッフ、弘前大学の正木卓氏をお招き、「北海道:北海道の農村社会と協同組合」というテーマで講義がされました。また、オブザーバーとしてJAバンク北海道サポート基金から2人が聴講されました。

講義では、まず、府県と北海道の農村社会構造の相違、農村が直面する課題と振興策、農村の有する多面的・公益的機能という問題意識が述べられました。そして、日本の農村社会についての理解を深めるために、①農村政策の変遷、②農村社会構造の特質、③農村社会と協同組合に焦点をあてた説明がありました。特に、既存研究と府県での生々しい農家調査経験を生かし、府県と異なる北海道の農村社会の特質を1)農家と村落との関係、2)土地に対しての労働(経営)の優位性、3)農家の存在の流動性と整理し、その性格を農事組合型村落と規定しました。

後半は、北海道厚生連とコープさっぽろの事例を取り上げつつ、農協による生活インフラ形成の意義についての内容となりました。農協の生活インフラ形成には協同組合間協同が必要であり、その重要性はより増していくと説明しました。最後に、人口と産業基盤が縮小している北海道において、農協を含む協同組合が産業振興と地域社会のインフラ維持を担う唯一の存在であり、これが農村社会からみる協同組合の存在意義であると強調しました。

次回は6月11日(月)に当研究室のスタッフ、申錬鐵氏と高慧琛氏による、「韓国:東アジアの総合農協」と「中国:中国農村合作社」をテーマとした授業を行います。

公開講座「北大を散策しながら農協を考える」を開講 2018/6/2

市民講座「北大を散策しながら農協を考える」が開講されました。この講座は当研究室の目的である、協同組合についての情報発信のため企画され、JAさっぽろと共催のかたちで行います。今年の市民講座は北大のイベントや施設見学などを楽しむ第1部と協同組合の情報を発信する講義の第2部の構成となっています。

6月2日、北大祭(6月1日~3日)期間中に行った第1回公開講座には、JAさっぽろ組合員と職員10人、オブザーバーとしてJAバンク北海道サポート基金の職員1人、計11人が参加しました。参加者は13時00分に北大農学部を出発し、北大中央通を散策しながら、若者の勢いを満喫し、留学生が作った世界各国の料理を楽しみました。その後、14時30分からは北大農学部農経会議室(S302)に戻り、坂下明彦氏より「ファミリー:協同組合における生産と消費のユニット」をテーマとした講義を受けました。

講義では、まず日本の農業と食を支える存在としての家族のゆくえを統計に基づいた農家と家庭の現状から整理しました。そのうえで青果物を対象とし、都市の膨張と消費者の集積に対応した流通システムとしての卸売市場体系の形成、都市消費の形成とその対応においての農協のレーゾンデートルが示されました。最後には、グローバル化に抗する農業と食のあり方を、①生協の展開、②直売所の展開、③インショップの展開など協同組合が主導してきたこの30年間の確実な変化から見出しました。また、家族が弱体化する中で、農協が地元の地域・生活に目を向け、ひとまわり大きな総合事業を展開することが、農協自体の社会的評価を高めると指摘し、地元目線の活動を基礎に、新規参入者の積極的な受入や都市生活者との交流を深めていくことが今後の北海道の農協の変身の仕方であると強調しました。

講義後、参加者からは「核家族化が非常に進展している今日において、家族のあり方について深く考える機会だった」、「農家という概念が農業・農村・農協において重要な位置づけであることがわかった」という意見がありました。

次回の市民講座は8月18日(土)13時00分より北大マルシェを楽しんでから、北大農学部農経会議室(S302)にて栗山町役場経営企画課の金丸大輔氏により「フード:食料の確保および食の安全・安心を支える農協」をテーマとした講義が行われます。


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大学院共通科目「アジア農業協同組合論」第3回「日本:総合農協の出生と軌跡」を実施 2018/5/28

5月28日(月)に大学院共通授業「アジア農業協同組合論」の第3回「日本:総合農協の出生と軌跡」が北大農学部S32教室で行われました。この授業は当研究室のスタッフ、小林国之氏が担当し、JAバンク北海道サポート基金から1人(越智総務部長)が聴講されました。

講義では、日本の農協の原型としてのドイツの農協の存在を踏まえながら、前身である産業組合の発展、国策と化した農業会について説明されました。第2次大戦後の農協の設立とその展開を時期別に捉え、画期毎の特質が指摘されました。また、北海道の農協については「開発型農協」としての性格を有しつつ、水田地帯の余裕金運用型・畑作地帯のすれ違い金融型・酪農地帯の借金組合型などの地域的類型をもつ存在であることが述べられました。

次回の授業は6月4日(月)に当研究室の元スタッフである弘前大学の正木卓氏を招き、「北海道:北海道の農村社会と協同組合」をテーマとして行います。

2018年度日本農業経済学会北海道大会が開催される 2018/5/26~27

5月26日(土)から27日(日)にかけて北大高等教育推進機構にて2018年度日本農業経済学会が開催されました。当研究室のスタッフである坂下明彦氏が本大会の実行委員長、小林国之氏がシンポジウム報告を行いました。

26日に開かれた大会シンポジウムでは、「『地域』と次世代型農業経営体との関係性」をテーマに4つの報告と2つのコメントに引き続き、総合討論がありました。

小林国之氏は「地域農業の維持と農協の機能-次世代型先進的農業経営体との関係から-」をテーマに、標茶町農協の事例を踏まえながら次世代型農業経営体の展開におけるあるべき農協の姿について報告しました。

27日には、同会場にて個別報告(口頭報告・ポスター報告)、特別セッションが行われ、当研究室のスタッフも参加しました。個別報告では、申錬鐵・正木卓・國本英樹の三氏共同で「北海道における農協の個選共販による野菜流通構造」をテーマに口頭報告を行いました。さらに、小林国之氏は特別セッションで「草地型酪農地帯の地域維持に向けた課題と農協の役割」をテーマとした報告を行いました。


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大学院共通講義「アジア農協論」第2回「源流としてのヨーロッパの協同組合」を実施 2018/5/21

大学院共通講義「アジア農業協同組合論」の第2回目が5月21日に北大農学部S404で実施されました。農林中金総合研究所の小田志保氏さんが「源流としてのヨーロッパの協同組合」をテーマに講義されました。

授業では、1900年に制定された産業組合法がドイツの協同組合法(1889年の産業経済組合法)を母法としていることから、欧州の農協を源流ととらえ、その発展と現段階を理解することを目的としました。

そのため、まずはEUの農業の概要と販売事業を中心としたEUの農協についての紹介がありました。その後、19世紀末のドイツとフランスの農協の発展過程を踏まえながら、EUの農協の事業展開と北西部に位置する大規模農協の今日的課題について説明しました。最後に、酪農協同組合であるDMKグループの事例を取り上げ、大規模農協の課題についての補足がありました。

前回の授業に引き続き、大学院生のほか、オブザーバー参加としてJAバンク北海道サポート基金からお2人が受講されました。

次回は5月28日(月)に当研究室のスタッフ、小林国之氏により「日本:総合農協の出生と軌跡」をテーマにした授業が行われる予定です。


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大学院共通授業「アジア農業協同組合論」開講 2018/5/14

大学院共通授業「アジア農業協同組合論」が5月14日(月)に開講しました。この授業は当研究室の前期活動として、5月14日から7月2日にかけ、毎週月曜日13時00分から16時15分まで農学部S32講義室が行われます。2016年、2017年に引き続き3年目を迎えている今年度は、これまでのヨーロッパ、日本、韓国、中国、ベトナム、キルギスにタイが加わり、より多様な世界各国の農協についての情報を発信できると期待しています。

初めての授業では、当研究室のスタッフである坂下明彦氏により、「アジアにおける農協の展開とその論理」というテーマで、西欧・アジアを中心とした農村協同組合の世界的展開と東アジアの総合農協の多様性についての説明がありました。

大学院生のほかアドバイザリー委員のJAバンク北海道サポ-ト基金の次田専務と高橋事務局長も聴講されました。

次回は5月21日(月)に農林中金総合研究所の小田志保氏を招き、「源流としてのヨーロッパの協同組合」をテーマに授業が行われます。


20180514

くりやま地域大学で講演 2018/2/23

2.23-2

栗山町教育委員会からの依頼により、2018年2月23日に行われたくりやま地域大学において当研究室のスタッフである坂下明彦氏が講演を行いました。くりやま地域大学は、普段聞くことが出来ない大学の先生等の専門家のお話を栗山町で聞ける勉強会として、栗山町教育委員会が主催しました。今回の講演には32名が参加しました。

講演のタイトルは「栗山町の農村の成り立ち」であり、まず、栗山町と北大・坂下明彦氏とのかかわりについての紹介がありました。その後に、栗山町の農業・農村の成り立ちを①農場制による村の開発、②農事実行組合型村落の形成、③稲作の形成と地帯構成、④園芸の展開と競争社会の視点から説明しました。特に、農場制による村の開発が栗山町の農業・農村において大きな特徴だと強調しました。

最後に、北海道第1号を誇る栗山町農業・農村の出来ことを説明しながら、町内で行われている限界集落への対応を踏まえ、栗山町農業・農村の特徴をまとめました。

講演後の質疑応答では、多数の参加者から聞いたことのない栗山町の農業・農村の歴史を振り替えてもらったので非常にいい勉強になった等の声がありました。


2.23-1

JAさっぽろとともに協同組合講座特別講義を開催 2018/2/17

当研究室は2月17日(土)16時から北大農学部S31教室でJAさっぽろと共催で協同組合講座特別講義を開催しました。この講義は2018年からJAさっぽろの協力で行う市民講座の前段として企画されたものです。地域連携経済学研究室の小林国之先生が講師をつとめた今回の講義にはJAさっぽろの組合員さん9人、JAさっぽろの職員11人、当研究室のスタッフおよびアドバイザリー委員4人、計24人が受講しました。

まず、JAさっぽろ経営企画室長である丸岡晃氏によるあいさつがあり、その後、小林国之先生から「知っていますか?」 わたしたちの食とくらしを支える農協のこと」をテーマとする講義が行われました。

講義は「皆さんと農協とのかかわり?」、「なぜ総合農協?」、「協同組合って何?」、「農協改革?」を主要内容とし、まとめとして儲かる農業づくりや教育活動・地域活動を通じた食と暮らしをささえる農協の未来についての説明がありました。

前半では、農協についてのイメージ調査結果から出されたキーワードについて紹介され、参加組合員さんに対し農協とのつながりについて質問としながら、組合員さんの興味を高めました。その後、農協の生い立ちを説明しながら総合農協になった理由について説明しました。そして、日本農協は「総合主義」、「網羅主義」、「属地主義」、「行政補完的機能」の特徴をもちながら、制度としての農協になっていることを紹介しました。

後半では、協同組合の定義、原則、性格について説明した上で、近年問題になっている農協改革について統計資料を用いながら、主要論点などについて説明がありました。最後に、農村での生活インフラ形成、地域とのつながりとして実施している文化活動などを紹介しながら、農協そのものが身近なところに存在する組織であることを強調し、そのためには組合員1人1人が主役でお互いに助け合うことが重要であると述べられました。

講義終了後には北大構内にある北大マルシェカフェ&ラボに移動し、懇親会を行いました。この交流会には受講者ほぼ全員が参加し、農協だけでなく農業などの多様なテーマについて活発な議論を行い、お互いの交流を深めました。


公開講演会「農協への独禁法適用除外の根拠と公正取引委員会の最近の法運用」を開催 2018/1/22

当研究室では1月22日13時から北大農学部W109講義室で公開講演会を開催しました。講演会には学生を含め大学院生、研究者、農協の関係者など計70名以上が集まりました。

講演会のテーマは、最近、農協の事業展開において独禁法適用除外問題が大きな話題となっていることから。「農協への独禁法適用除外の根拠と公正取引委員会の最近の法運用」としました。講師は農協の独禁法適用除外問題を長年の間研究され、最近、『反トラスト法と協同組合』を執筆された福島大学名誉教授高瀬雅男先生にお願いしました。

高瀬先生は最近の農協に対する公正取引委員会による法運用には、「個々の事例に対する独禁法適用は適切か」と「適用除外制度の目的からみて適切なのか」の2つの問題があり、それについて検討するためには①適用除外制度の母法であるアメリカの反トラスト法適用除外立法の適用除外の根拠と範囲、②排他的販売契約の適法性を検討する必要があるとしました。

講演会の前半では、独禁法の目的と体系が述べられた後に、協同組合のための独禁法適用除外の必要性をアメリカにおける協同組合運動の展開と関連付けて説明しながら、農協の独禁法適用除外においての解釈の方向性は内部行為適用除外の方向で解釈すべきであることを強調しました。

続いて、後半には土佐あき農協事件と阿寒農協事件を事例としながら、公正取引委員会の法適用についての見解を明らかにしました。特に、農協の専属利用契約は契約期間を数年から10年とし、年に1回契約を離脱する機会を保障し、実損程度の損害賠償額を予定すれば、公正競争に対する阻害性がなく強化すべきだとしました。

最後には、聴講者から質疑応答を行い、農協への独禁法適用除外についての活発な議論の場となりました。

講演会終了後には、2017年度第2回アドバイザリー委員会が開催され、当研究室の今年度の活動実績と次年度の計画について報告されました。さらに、活動内容についての様々なコメントを頂きました。


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「農協への独禁法適用除外の根拠と公正取引委員会の最近の法運用」を開催予定 2018/01/22

協同組合のレーゾンデートル(農林中金寄附講座)では以下のような公開講演会を開催いたします。

○公開講演会「農協への独禁法適用除外の根拠と公正取引委員会の最近の法運用」

・講演者:福島大学名誉教授 高瀬 雅男氏
・日時:2018年1月22日(月)13:0015:00
・場所:北大農学部 W109講義室

【背景】
■農協の存在を揺るがすような政治的な攻勢が強まっています。そのなかで、公正取引委員会による農協の事業に対する行政命令・指導・注意などの連発が目につきます。

■農協事業は中小規模の農家のための事業なので、独禁法の適用除外を受けているにも関わらずです。適用除外には不公正な取引方法を用いた場合には除外を解除するという「ただし書」があり、公取委はそれを盾にしているようです。

【講演の内容】
■農協にはなぜ独禁法の適用除外がなされてきたかを、アメリカのアンチトラスト法に遡って解説します。
■日本の独禁法のなかでの適用除外の意味と公取委の法の運用について検討します。
■最近の公取委による農協への行政命令や勧告、注意などが法の運用上どのような問題があるかを解説します。
△高知県土佐あき農協に対する共販組織をめぐる排除措置命令
△北海道の阿寒農協に対するMMJへの生乳出荷をめぐる「注意」
■農協への全量出荷(専用契約)を適用除外すべきことを論じます。

【高瀬先生のプロフィール】
1945年栃木県生まれ。東京都立大学法学部卒業、同社会科学研究科博士課程中退。
鹿児島大学、高知大学を経て福島大学助教授・教授。2011年に定年退職。専攻は経済法。
著書に「協同組合と独占禁止法の新展開」日本経済法学会編『経済法講座1巻』2002、
高瀬雅男『反トラスト法と協同組合』日本経済評論社、2017(今回の参考文献)など。