レーゾン市民講座「食にとって農協は本当に必要ないのか?」 第5回·最終回「ワークショップ」を開催 2017/3/22

第5回市民講座が2017年3月22日(水)13時30分から北大農学部5F中講堂で開催されました。今回の市民講座は4回の学習を経た参加者と講師との対話·参加者同士の対話を深め、参加者みなさんの本講座や農協に対する意見を「市民による農協の再発見」として受け止めることが目的です。そのため、ワークショップのかたちで実施しました。参加人数は登録13名のうち11名でした。

まず、坂下明彦教授より第5回ワークショップの開会宣言があった上、当研究室の申錬鐵特任准教授より今までの4回の講義の振り返りがありました。その後、吉田省子客員准教授よりワークショップの手順説明が行われました。

本番である専門家との対話付きワールドカフェは吉田省子客員准教授が司会を担当しました。第5つのラウンド(各ラウンド18分)で構成され、第4ラウンドまでは4つに分けられたグループが4名の講師のテーブルをに循環しながら対話を行い、最後の第5ラウンドでは自分の考えや意見を参加者同士で述べ合い、全員スピーチのため準備を行いました。

最後には、参加者全員から市民講座や講義内容に対する感想や意見等についてスピーチをしていただき、その内容を①情報発信の必要性、②農協改革の背景と対応、③事業の必要性と課題と構造化しました。その後に、全体講評とともに参加者全員に修了証書を渡しました。

ワークショップでの議論内容等々については、今後報告書として取りまとめる予定です。

北海道農業経済学会で二つの学会賞を受賞 2017/3/4

朴紅さん(准教授)に学術賞『中国国有農場の変貌―巨大ジャポニカ米産地の形成』筑波書房

王エンさん(修士2年生)に奨励賞「中国蘇南農村における家族形態と家族内扶養の性格―開弦弓村を事例に―」(個別報告)

2017年3月4日に北海道大学で開催された北海道農業経済学会春季例会で、朴紅さんに筑波書房から2015年11月に出版された『中国国有農場の変貌―巨大ジャポニカ米産地の形成』を対象として学会賞学術賞が授与されました。本賞の推薦書は別紙の通りです。また、同学会の個別報告で研究室からは李雪蓮(Ⅾ3)「中国朝鮮族農民の韓国出稼ぎとその性格」、王エン(M2)「中国蘇南農村における家族形態と家族内扶養の性格―開弦弓村を事例に―」の2報告が行われました。王エンさんはこの報告で学会賞奨励賞を受賞しました(李さんはすでに奨励賞を受賞済み)。


『中国国有農場の変貌―巨大ジャポニカ米産地の形成』

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市民講座「食にとって農協は本当に必要ないのか?」 第4回「都市と農村をつなぐ女性の力~北海道農協女性部の役割と可能性~」を開催 2017/2/22

第4回市民講座が北大農学部S322教室で開催されました。参加人数は登録13名のうち11名でした。今回は北海道大学大学院農学院の高橋祥世氏(協同組合学研究室)による「都市と農村をつなぐ女性の力-北海道農協女性部の役割と可能性-」をテーマとする講義でした。

講義では、都市と農村の交流において女性の力が欠かせないという観点から、農協女性部を取り上げ、農協女性部はどのような組織なのか、また、北海道では農協女性部にどのような役割が期待されているのかについて話されました。

まず、農協女性部の組織体制と歴史についての説明があり、統計資料を用いて北海道の農協女性部の特徴が話されました。ここでは、部員数の減少、部員の高齢化、活動のマンネリ化による農協女性部の活性化が課題となっていると指摘しました。なお、北海道の農協においてはこれまで経済事業中心の事業展開が中心であったため、男性中心に運営されているが、今後は食農教育や加工品の開発が必要となるため女性の力を農協に集結させる必要があると強調しました。

最後に、北海道内で活動している農協女性部の活動内容等を紹介しながら、農業を通じた女性農業者の自己実現および社会貢献、営農と生活を切り結ぶ活動が北海道の農協女性部におけるこれからの役割ではないかと提案しました。

今年の市民講座の最終回となる次回では、これまでの講師4名を再び招聘し、北海道大学大学院農学研究院の吉田省子客員准教授をコーディネターとするワークショップを開催いたします。市民講座のワークショップは3月22日(水)に農学部5階中講堂で行います。


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栗山町継立地区を対象に第3次農村総合調査を実施 2017/2/17-19

11月の栗山町継立・日出地区の農村調査に引き続き、2月17日(金)から19日(日)の3日間、第三次の農村総合調査を行いました。今回は、継立地区だけに焦点を絞り、農家全戸調査を8人の学部生・大学院生で行いました。今回の調査では、前回分けた班の内容に沿って、「歴史」・「現状・経営状況」・「生活」を経営主、妻、あるいは父、母から伺いました。この調査で得た資料や情報をまとめて、調査報告書をまとめる予定です。

継立地区は元々北大第六農場の一部でしたが、払いされて以降主に水田地帯として発展してきました。減反政策のあと、様々な作目への転換も起こり、現在では継立地区全11戸のうちほとんどが水田経営をしながら、トマトなどの蔬菜や畑作も行っている地区です。

1日目は、夕方ごろ到着したので予定はありませんでしたが、次の日の打ち合わせや調査票の確認をしました。

2日目、3日目ともに継立地区の農家全11戸から話を伺いました。経営主から農場の基本情報や経営状況を伺うのと並行して、経営主の妻から買い物の場所などの生活の話や、病院などの福祉の話も伺いました。また、2世帯にわたる農家には、経営主の父、母から昔の継立のお話や普段の生活のお話も伺いました。

今回の調査では個々の農家について非常に詳しいところまで伺うことができました。次回の日出地区の農家全戸調査でこの調査は最終局面を迎えると思うので、今まで集めた資料を整理して、報告書をまとめたいと思います。


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市民講座「食にとって農協は本当に必要ないのか?」第3回「北海道の農村開発と生活インフラ」を開催 2017/1/25

第3回市民講座が北大農学部S322教室で開催されました。参加人数は登録13名のうち9名でした。今回は弘前大学農学生命科学部の正木卓先生(11月までレーゾンデートル研究室)による「北海道の農村開発と生活インフラ」をテーマとする講義でした。

講義では、従来あまり意識されてこなかった「農協による生活インフラ形成」が取り上げられました。この前提として、北海道の農村開発の特徴と生活様式についての説明があり、北海道では国有未開地の計画的な農村開発が実施されたこと、戦後からは役場と農協による生活インフラの整備が行われてきたことが話されました。続いて、農協による生活インフラ形成の過程について北海道厚生連を事例として解説され、あわせてコープさっぽろによる生活福祉に関する取り組みが紹介されました。

このなかでは、自治体財政問題による住民サービスが低下するもとで、社会的企業としての農協の役割がより重要になることが述べられました。また、北海道の農村の生活様式に合わせた農村生活インフラの充実のためには農協と生協によるコラボ(協同組合間協同)が必要であることも強調されました。

次回は2月22日(水)に北海道大学大学院農学院の高橋祥代氏による「都市と農村の交流」をテーマとした講義を行います。


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市民講座「食にとって農協は本当に必要ないのか?」第2回「農協“王国”ほっかいどう」を開催 2016/12/21

第2回目の市民講座が12月21日に10人の参加(登録13名)で開催されました。まず、北大協同組合研究室の坂下明彦先生から、第1回目で要望された農協に関する資料の配布と若干の説明がされました。その後、同大の地域連携経済学研究室の小林国之先生から「農協“王国”ほっかいどう」をテーマとする講義が行われました。

講義では、まず北海道の農協数が全国でトップであることを示しながら、じゃがいもを中心とした士幌町農協の事業の取組みについて説明がされました。その後、協同組合をユネスコの「無形文化遺産」に登録することが決定されたことを紹介した上で、利用者・経営者・所有者の三位一体性、1人1票主義、事業の目的は営利の追求ではなく「利用」であること、公平・自主自立・政治的中立といった協同組合の性格が紹介されました。

また、日本の農協の特性として総合事業、網羅主義、属地主義、行政補完的役割を指摘しました。最後に、統計資料を活用して日本における農協数の推移、組合員数等々の数値が提示されました。特に、都道府県別1農協あたりの部門別事業総利益の状況からいわゆる「信共分離」が「農協改革」の大きな狙いであることが強調されました。

次回は1月25日(水)に弘前大学の正木卓先生(11月まで当寄附講座の教員)を招き、「生活問題と農協」というテーマで講義を開催します。

市民講座「食にとって農協は本当に必要ないのか?」第1回「家族を基礎とした農業と食生活-生産と消費をつなぐ農協-」を開催 2016/11/30

協同組合のレーゾンデートル研究室では2016年後期活動の一環として「市民講座」を実施しました。市民講座は協同組合の存在意義を一般市民に広く知らせるため企画された活動で、今年のテーマは「食にとって農協は本当に必要ないのか?」です。

参加者は札幌市消費者協会の協力の下で募集を行い、応募のあった13名(募集枠は10名)の少数人で進めていきます。2017年2月まで毎月4回の講義を行い、最後の3月には4回の講義の締めくくりとしてワークショップを開催いたします。

11月30日に開かれた第1回市民講座では、まず事務局の正木さんから当研究室の紹介と市民講座の内容についての説明がありました。その後、協同組合研究室の坂下明彦教授から「家族を基礎とした農業と食生活-生産と消費をつなぐ農協-」をテーマとする講義がありました。

講義では、まず日本の農業と食を支える存在としての農家と家庭の現状を統計によって整理されました。そのうえで青果物を対象として、都市の膨張と消費者の集積に対応した流通システムとしての卸売市場体系の形成と農協の役割、そして現状の問題点が示されました。最後には、グローバル化に抗する農業と食のあり方を、①生協の展開、②直売所の展開、③インショップの展開など協同組合が主導してきたこの30年間の確実な変化から見出しました。また、家族が弱体化する中で、農協が地元の地域・生活に目を向け、ひとまわり大きな総合事業を展開することが、農協自体の社会的評価を高めることにつながり、今後の北海道の農協の変身の仕方であると強調していた。

次回は12月21日(水)に地域連携経済学研究室の小林国之准教授から「農協王国ほっかいどう」をテーマとする講義を開催します。


栗山町継立・日出地区を対象に第2次農村総合調査を実施 2016/11/11-13

9月の栗山町継立・日出地区の農村調査に引き続き、11月11日(金)から13日(日)の3日間、第二次の農村総合調査を行いました。前回の予備的調査を踏まえてより踏み込んだ調査を実施するために12人の学部生・大学院生を「農業史」・「農業の現状」・「生活福祉」・「地域・産業」の4つのグループに分け、それぞれで調査を行いました。この調査で得た資料や情報をまとめて、今年度中に調査報告書をまとめる予定です。

栗山町は札幌市から車で1時間の距離にあり、夕張川の東岸に南北にのびた町です。農作物は稲作を始め、種子バレイショやタマネギ、各種野菜など様々な作物を栽培しています。人口は1.2万人であり、農業経営体数は396戸で、人口減少・高齢化に直面しています。

1日目は、午後から栗山町農業振興公社の島事務局長から、栗山町の農業の概要や公社の活動について、特に日の出地区での新規参入の取り組みについてお話しをうかがった。2日目、3日目は各グループで調査を行った。

第1班 農業史 継立地区の調査では、農業を引退された80代のお二人に話を伺いました。継立は、アノロ川の上流域とポンアノロ川流域からなり、第二次大戦前は北大の第6農場と佐倉藩主の堀田農場の2つから構成された地域です。開発の当初は畑作で菜種や亜麻、麻、タバコなどを栽培していました。水利組合ができてからは、アノロ川から取水して徐々に水田が増えていきました。畑地では百合根などの特産物を作っていたそうです。現在の継立の大きな地図を広げながら、頭首工や水路の本線・支線など、現地の人でないとわからない貴重なことを教えていただきました。

日出地区でも、同様の方法で60~80代の3人からお話を聞きました。日出は山間に位置しており、すぐ隣は夕張市です。この炭鉱を市場とする野菜地帯が作られたことは意外でした。メロンや百合根、その他野菜栽培が盛んで、1963年にはビニールハウスをいち早く導入しました。水田開発はアノロ川上流の自然流下もあったが、沢やため池感慨も多く、不安定で小規模なものが多かったようです。今回の調査では、特に水利と土地所有という観点で、地区の農業展開を見られたのが大きな収穫でした。

(星野愛花里 4年)

第2班 農業の現状 第2班は農業の現状について継立・日出地区それぞれ二人の農家から聞き取り調査を行いました。2日目は継立地区で篤農家二人から地区の農業の現状や個々の経営状況、土地所有や利用などを尋ねました。非常に和気藹々とした雰囲気の中で調査を進めることができました。3日目は日出地区で若手農家から話を伺いました。日出地区は高齢化が進んでおり、数少ない若手農家が力を合わせて協力する必要があると実感しました。今回の調査では農業の実態についていろいろなことを知ることができました。第1班の農業の歴史と比較し、農業の変遷を今後明らかにしていきたいと思います。

(蜂屋瑞貴 3年)

第3班 生活福祉 学部のゼミのおかげで、今回初めて二泊三日の継立・日出地区の調査に参加できました。調査地の2地区はとても静かなところです。しかし、この地区では高齢化が進んでおり、特に日出地区がかなり深刻なようです。「買い物などの移動が問題ですよ」と地区の民生委員さんは言っていました。民生委員とは、高齢者や障害者などの社会的弱者に対し、ボランティアを行ったり、相談相手だったり、話を聞いてくれたりする大切な人です。今回、お世話になった継立と日出の民生委員はとても親切な方でした。民生委員の仕事や地区の課題についていろいろ話を聞きまして、とても勉強になりました。楽しい三日間はあっという間に過ぎました。

(王エン 修士2年)

第4班 地域・産業 炭鉱や鉄道で栄えた継立・日出の歴史をたどる中で、今回は継立地区の市街地について調査しました。連合町内会長でガソリンスタンドを経営されている方と継立商工会議所会長で電気会社を経営されている方の2名にお時間をいただき、お話を伺いました。市街地の変遷や経営されているお店の現状や歴史、商工会議所の活動内容などを教えていただき、大変参考になりました。その他に、栗山図書館で資料を探したり、実際に継立市街を歩いて見たりして、気になった点を話し合う時間も持ちました。今回の調査で継立市街地の現状について理解が深まりました。今後は資料を用いながら更に詳しく市街地発展の歴史と今を見ていこうと思います。

(竹田菜那 4年)


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北大において第36回日本協同組合学会を開催 2016/10/7-9

10月7日(金)から9日(土)にかけて北大農学部にて第36回日本協同組合学会(大会実行委員長・坂下明彦先生)が開催されました。

7日開催の地域シンポジウムでは、協同組合学研究室の小林国之先生が座長で「第28回北海道農協大会の提起とその後」をテーマに報告とパネルディスカッションを行いました。各報告では単協での出向く営農指導体制の取組みや北海道農協青年部協議会での取組みなどが報告され、パネルディスカッションでは「これからの北海道農業の形と農協の役割」について活発な議論が行われました。ここでは、この春協同組合研究室の社会人院生を修了したきたみらい農協の河田大輔さんや同研究室D3の高橋祥世さんが報告するなど、研究室フル出動で対応しました。

続く8日に開催された大会シンポジウムでは、本研究室の正木卓・高慧琛先生が「北海道における協同組合のレーゾンデートル-北海道の農協の到達点と課題-」と題して報告しました。農協改革議論のなかで准組合員問題が取り上げられ営農純化論が強調されているなかで、北海道においては人口・産業基盤が縮小しており、むしろ農協が農業振興とともに地域社会のインフラ維持を担う主体として一回り大きな、まさに「総合農協」としての役割を果たすことが期待されている現状が報告されました。

最終日の9日はエクスカーションとして寄附講座の研究活動とも関連が深い栗山町農業振興公社において農業振興の取り組みについて説明を受け、農家視察として福島原発事故後、飯館村から栗山町に避難し和牛繁殖経営を再開されている菅野義樹(菅野牧園)さんのお話を伺い、午後からは千歳市駒里農協における地域づくりの取り組みについて、代表の中村由美子さんから説明を受けました。

今年の北海道は過去に例のない台風の被害に見舞われましたが、そうした中でも学会視察等で対応いただきました農家の方々はじめ、JAグループ北海道の皆様方にこの場をお借りしお礼申し上げます。